上高地バスターミナルから明神、徳沢、そして横尾へ
8月が過ぎ、上高地は少しずつ秋の気配を感じる季節となりました。
日本一の紅葉と言われる「涸沢カールの紅葉」。この素晴らしい絶景を一眼見ようと多くの登山者が足を運び、毎年9月下旬から10月にかけ、涸沢への玄関口である上高地は秋の登山者で賑わう季節を迎えます。
上高地バスターミナルを出発して明神〜徳沢〜横尾を経由、標高2,300m涸沢へ片道およそ6時間余りの道のり。
河童橋から梓川上流へ1時間ほど歩くと、穂高神社奥宮の神域「明神」に到着、穂高奥宮・参道の標柱の前で明神岳最南峰の勇姿を眺めながら一休み。
10月8日(火)には明神池にて、山の安全を神に感謝するお祭り「穂髙神社奥宮例大祭(明神池お船祭り)」が行われます。
明神から梓川左岸の道を上流にたどること約1時間。針葉樹林を抜けるとハルニレやカツラの木々が点在する徳沢キャンプ場です。小説「氷壁」の舞台となった徳沢は、静寂と緑が満ちる上高地の奥座敷。シーズンを通して多くのキャンパーが訪れます。9月中旬から山肌が紅葉しはじめ、10月にはカツラ、白樺、ニレ、マユミ、そして最後に黄金色のカラマツの眩いばかりの彩りの紅葉が楽しめます。
静謐なる原風景、奥上高地・横尾へ
徳沢からおよそ70分、涸沢・穂高、槍ヶ岳など北アルプスの登山基地として知られる「横尾」を目指します。
上高地バスターミナルから涸沢へは6時間以上の道のり。横尾からは本格的な登山道となり、自身の体力に応じて横尾山荘で一泊し、翌朝涸沢カールへ向かう工程も一考です。
また、横尾には横尾野営場もあり、涸沢や槍ヶ岳を目指してのベースキャンプとして利用も可能です。
毎年9月〜10月の紅葉の時期には多くの登山客で賑わい、今年も横尾山荘では、涸沢の紅葉シーズンの宿泊予約が始まっています。
ここ数年、9月末から10月の体育の日の連休にかけては、平日土日にかかわらず、予約開始の午前7時から1時間ほどで満室となる人気。
山小屋である横尾山荘は当日予約なしでも宿泊を断られることはありませんが、定員制の相部屋が満室の時には、広間や談話室を利用となることがあり、混雑日の稜線の山小屋のような窮屈な状況になることがあります。
横尾山荘の山田さんによると、9月21日以降は数日を除いて9月30日まで満室の為予約締切となりましたが、例年、体育の日の3連休以降は混雑することなく宿泊可能とのこと。(2019年8月31日現在)
時期をずらすと涸沢カールの紅葉の盛りは過ぎますが、本谷橋周辺から横尾付近は錦繍の季節を迎え、静かな山を楽しめるようです。
お問い合わせは/
横尾山荘 TEL 0263-95-2421
横尾から約3時間の登山・・・涸沢カールへ
横尾大橋を渡れば本格的登山の始まりです。
横尾より本谷橋までおよそ1時間。比較的なだらかな登山道が続きます。橋のたもとは大勢の人が重い荷物を下ろし、一休みするスポットとなっています。
そして、一息ついたら涸沢カールまで登り約2時間、色づく山々の紅葉の間を進みます。最盛期には登山渋滞が起きるほどの人気コース、初めての人は涸沢を目指す登山者のペースに驚くかもしれません。コース自体はわかりやすく道に迷う心配もありませんが、登山経験とご自身の体力をよく考え安全な山行の計画をしてください。
涸沢では「涸沢ヒュッテ」「涸沢小屋」またはテント泊となりますので、それぞれの施設の情報をしっかりと確認してください。
また、トレッキングシューズまたは登山靴、登山用ザック、レインウェア等、登山用品の携行は必須。スニーカーなどの軽装は絶対に避け、十分な装備で向かいましょう。
涸沢の紅葉を見ずして穂高を語ることなかれ
「涸沢の紅葉を見ずして穂高を語ることなかれ」は有名な名言。穂高連峰を仰ぐように形成された涸沢カールはまさに天下一品の紅葉スポットで、涸沢ヒュッテのテラスからは華やかに彩られた絶景を仰ぎ見ることができます。
そして毎年紅葉の最盛期には涸沢カールのテント場は色とりどりの数百〜1,000張のテントで埋まり、紅葉は例年9月中旬頃より色づき始め、見頃を迎えるのは9月下旬から10月上旬頃となります。
山肌を赤く染めるモルゲンロートの絶景
涸沢カールの夜は、天気が良ければ天の川を始め、満天の星空を眺めることができ、色とりどりのテントが立ち並ぶ涸沢カールの夜景は幻想的で北アルプスの雄大な自然とともに秋の名物の一つです。
そして早朝、穂高連峰はモルゲンロートに包まれます。
モルゲンロートとは、夜が明けきらない早朝に東の空から朝日が山筋を照らし、山肌が赤く染まる現象。
赤や黄色に染まる紅葉とともに、朝日に照らされ赤く染まった山々の光景は息を飲む一瞬。何度見ても飽きることのない絶景です。
今年の涸沢の紅葉のピークはいつ頃になるでしょうか。
詳しい情報は、涸沢ヒュッテのホームページなどを参考に山行を計画してください。