梓川右岸の大正池と上高地バスターミナルのほぼ中間地点、ウエストン碑の近くをウエストン園地と呼ぶ。河童橋やバスターミナル周辺とは違い、散策する人はさほど多くない。だが、梓川の背後にそびえる霞沢岳や六百山は、穂高連峰とはまた違った迫力を持って私たちの目に飛び込んでくる。

ウエストン園地にある上高地ルミエスタホテルは、大自然の中に静かに身を委ねたい人にぴったりのリゾートホテル。前身は1900年初頭に開業した清水屋旅館。日本アルプスを広く世界に紹介し、前出のレリーフにもなっているＷ．ウェストンが定宿としていた。洋画家・詩人の高村光太郎と智恵子夫妻が滞在した宿としても有名。その後、全面改装し上高地清水屋ホテルとしてリニューアルオープン。平成26（2014）年、上高地ルミエスタホテルとなった。

ホテルを語る上で欠かせないのが、上高地では2施設しかない天然温泉。地下150ｍから湧き出る源泉を100%源泉かけ流しで利用している、なんとも贅沢な温泉だ。源泉は45度の適温。湯量にも恵まれ加温も加水もせず、露天風呂や大浴場、宿泊者専用の貸切風呂はもちろん、全ての部屋のお風呂にも利用している。

　全ての客室から梓川と山々が眺められる眺望の良さも自慢。中でも横幅5mを超える窓が壁一面に配置された「プレミアムシアターツインルーム」は、まさに自分たちだけの映画館。抜群のパノラマビューが約束された特別な一室は、一度は泊まってみたい憧れの部屋だ。

温泉や食事を満喫したら部屋の窓や、ホテル前のテラスからぼんやり夜空を眺めてみよう。日常生活ではなかなかお目にかかれない満天の星空が広がっている。あたりに明かりが少ないこの場所は、夜空の美しさも群を抜いている。早朝梓川が朝霧に包まれ、雄大な山々が浮かび上がる幻想的な景色を見られるのも宿泊者の特権。日帰りでは感じることのできない、上高地の姿をゆっくり堪能したい。
また、ホテルロビーでは、上高地の映像を流し、200冊の蔵書を片手に時間を気にしない滞在ができる。