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牧場の番小屋から始まった
高山植物のお花畑と、広々とした草原が一面に広がる上高地の奥座敷・徳沢。上高地バスターミナルから梓川左岸を歩いて約2時間。ハルニレやカツラの大木が心地よい木陰をもたらすキャンプ場の前に徳澤園がある。
昭和の初め、ここは牧場だった。昭和9(1934)年、北アルプス一帯が中部山岳国立公園に指定されると閉鎖され、牧場の番小屋だった建物は山小屋になった。キャンプ場より望む前穂高岳東壁は、井上靖(1907-1991)の長編小説『氷壁』の舞台。そこに登場する「徳沢小屋」が徳澤園だ。
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ワクワク感あふれる相部屋
徳澤園らしさが最も味わえる相部屋は、ワクワク感にあふれたおもちゃ箱のようだ。明るい色彩にハチの巣のようなデザインの居室は、天井が高く圧迫感が少ない。敬遠されがちな上段の居室も、階段を使うことで安全に行き来でき、落ち着ける雰囲気を作り出している。屋根裏のような2人部屋は、親子で過ごすのに人気という。部屋ごとにデザインががらりと変わるので、早めに着いて「探検」も楽しい。
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プライベートが十分確保されている相部屋だが、よりくつろぎたい人は洋室がおすすめ。ステンドグラスやイタリア製のソファなど、こだわりの家具が非日常感を高める。山を眺めながらマッサージチェアに横たわり、サービスのビールで一服。普通の山小屋では想像もつかない贅沢な時間が待っている。
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雨の日も「山で過ごす」
「天候に左右されることなく、雨の日も『山で過ごす』宿でありたい。新型コロナ下で人と対面で話す機会が減る中、いっそう強く思うようになりました」と話す代表取締役の上條靖大さん。キャンプ場の一角に設けられた「TOKUSAWA BASE」が、その思いを象徴している。天井の高い開放的な空間、壁一面に登山やアウトドアの本・雑誌が並ぶ。クライミングウォールは子どもに人気だ。
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「親しい人と話したり、本を読んだり、時には何もしなかったり。徳澤園は『山小屋ごっこ』の最適解。ここで山での過ごし方を探してほしい」と上條さん。
「これからの登山者をつくる」。思いを続々と形にする徳澤園の「進化」にこれからも注目したい。
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旬のものにこだわり すべて手作り
ノスタルジックな雰囲気漂うおしゃれなメインダイニングで味わえるのが、旬のものにこだわった手作りの食事。自家菜園で作った無農薬野菜をふんだんに使ったメニューは、季節やその日の仕入れによって変わる。夕食のメインは信州牛のステーキ。食事を楽しみに足繁く通うリピーターが多いのもうなずける。
「お客さまが口にするものは、できる限り安全なものを提供したい」。食を大切にする背景には、女将さんのモットーがある。春は山菜、秋はキノコ。すべて手作りで提供される食事には、季節の移ろいとスタッフの愛情が感じられる。
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氷壁の宿 徳澤園の施設情報
INFORMATION
- 宿 泊
- 客室数/20室(和室14・洋室3・相部屋3)
チェックイン/14:00
チェックアウト/8:30
宿泊料金/14,500円~(大人1名1泊2食付き・税サ込)
- キャンプ場
- 幕営数/約250張
利用料/大人1,500円・小学生まで1,000円(いずれも1泊1名・税込)
*3歳児以下無料
*レンタル(テント・シュラフ・毛布・マット)ございます。
*食材の販売はございません。
- 食 事
- 4月27日〜11月上旬
みちくさ食堂/7:30ー15:00(L.O)
夕食はテイクアウト、要当日予約(17:00まで)
- 喫 茶
- 4月27日〜11月上旬
みちくさ食堂/7:30ー15:00(L.O)
- 売店・お土産
- 4月27日〜11月上旬
みちくさショップ/7:00~
- 外来入浴
- 不可
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- お問い合わせ
- 〒390-1516 長野県松本市安曇上高地
TEL 0263-95-2508(※冬期 0263-95-2508)
FAX 0263-95-2512(※冬期 0263-39-2041)
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