星空が綺麗に見える地域ということで何かと話題になる長野県。野辺山、阿智村、美ヶ原、原村など、観光サイトやSNSなどで目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。

もちろん他の都道府県でも星が綺麗に見えるという地域は沢山あります。その中でも長野県は都心からの交通アクセスが比較的良く、日本で最も平均標高が高い県であり、空気も澄んでいて星が綺麗に見えます。

また、光害（ひかりがい）といわれる照明等の光が漏れて空が明るくなってしまい、その結果天体観測にも影響が出る現象として問題になっていますが、長野県は少し山間部に入れば住宅も少なく、この光害が少ない場所が沢山あるのも理由ではないかと思います。
上高地も同様に星空が綺麗な場所なのですが、ここはマイカー規制のほかトンネルの通行時間規制もあり、夜は宿泊した人たちしか滞在できないということで他の地域に比べてあまり知られていません。でも一度見ればわかると思います、澄んだ空気と満天の星空は夜の上高地の贅沢な楽しみであることを。

実は上高地は星空鑑賞には都合の良い条件が揃っているのです。マイカー規制によって夜の7時以降になると車が通らないのでヘッドライトによるまぶしい光がありませんし、そのうえ道路には街灯がありません。さらには、大半の施設が夜になると多くの照明を落としますので観光地とは思えない想像以上の暗さなのです。つまり、上高地の息をのむような星空体験は宿泊者のみに許された特典なのです。
上高地は山に囲まれた場所です。たとえ平坦であっても多くが自然林のため空が開けている場所が限られますが、あらかじめ知っていれば季節の星座のほとんどを観ることができます。

大正池は、大正池ホテル近くの湖畔から南北に空を仰ぐことができます。
ウエストン広場では南・東側が、河童橋周辺では穂高岳方面の北・西側の空が開けています。
また、小梨平キャンプ場の梓川のほとりに出れば、街灯が全くない環境で存分に星を観察することが出来ます。
そして徳沢キャンプ場まで行くと、南にくっきりと浮かび上がる天の川を見ることができます。

本格的に天体観測をするのではなく、まずはちょっとだけ、いま見える星座の予習をしてから星座にまつわる物語などに思いを馳せながら上高地の星空を鑑賞してみてはいかがでしょうか。
夜の上高地は夏でも空気が冷えて寒く感じることが多いですので十分な防寒装備と、足もとを照らすためヘッドランプもしくは懐中電灯があると安全です。

また、星空を肉眼で見るよりも明るく、大きく見ることができる星座観測専用の双眼鏡があります。明るいレンズと2倍程度の低倍率で星の並びが確認しやすく、また天の川をくっきりと見ることが出来ますのでおすすめです。施設によっては双眼鏡の貸し出しを行っている所もあります。
宿泊のお客様にむけて星空観察会のようなイベントを行っている施設もありますのでぜひお問合せください。