明神岳真下、花々と野鳥に満ちた休息の地
徳本峠の入口にあたる、早くから開けた歴史ある明神
W.ウェストンも芥川龍之介も、高村光太郎もこの地を目指し
目の前に迫る明神岳の山容に
感動をかみしめた
神域にふさわしい静寂の明神
河童橋から梓川沿いを上流へ1時間ほど歩むと、ニリンソウの群生が美しい明神に着きます。ここ一帯は眼前にそびえる明神岳をご神体とした穂髙神社奥宮の神域です。喧騒をほどよく逃れた明神は山野草や野鳥の種類も豊富で、ゆっくり散策したい方にはおすすめのスポットです。
徳本(とくごう)峠へと続く白沢出合辺りでは、オオバキスミレやコチャルメルソウ、山裾の斜面ではシャクナゲの花も見られます。
かつて上高地とは、明神をさしていた
標高2,931mの明神岳は、立つ稲穂のように鋭く「穂高明神の為の山」という意味で、かつて穂高岳をさす言葉として使われていました。その昔、上高地へは峠(現在名・徳本峠)を越えて入山するのが常であり、峠を越えた到着点は穂高を見上げる明神の地(過去名・徳郷)でした。この地でアルプス鎮守の神・穂高明神岳を目の当たりにした人々は、神々しく見つめて崇拝したに違いありません。江戸時代の「上高地」は現在の明神地区を指していました。
現在の明神岳は、穂高岳という大きな山体名が、昭和時代になって明神岳と前穂高岳とに分かれた名称です。明神からは明神岳のみが見えます。今も麓の明神地区には穂髙神社奥宮が祭られ、多くの人々に信仰されています。
河童橋から梓川左岸の散策道へ
河童橋から明神までは、梓川左岸を上流に向かい1時間弱の道のり。途中小梨平の上高地ビジターセンターに立ち寄れば、上高地の花や昆虫・鳥の資料、歴史などを学べます。六百山の急峻な山裾が迫る山道を進み、小さな上り下りの道を歩めば明神へと到着します。5月中旬にはニリンソウの群生、5月下旬~6月頃には小梨の花やエゾムラサキ、ミヤマザクラが明神一帯に咲き誇ります。
左手にある「穂髙奥宮・参道」の標柱を、明神岳の真下にまっすぐ進んでいくと明神橋。橋の手前は絶好の撮影ポイントの一つで、明神岳最南峰を見上げる景色は圧巻です。橋を渡れば、神秘の造形美で魅了する明神池へと続きます。嘉門次碑を過ぎた先の穂髙神社奥宮を参拝し、神社の趣深い神秘の明神池(拝観料・大人300円)を眺めたら、梓川右岸の遊歩道を下り岳沢湿原をめぐって河童橋に戻るのも良いでしょう。
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