色彩豊かな名峰、大地の息づかいが聞えるトロイデ
連なる稜線の南端、大正池から見上げる焼岳は
色鮮やかな衣をまとい、見るものを魅了する日本百名山のひとつ
山頂に足を踏み入れれば、そこには美しい火口湖
そして溶岩ドームからは白く噴煙が立ち上り、大地の息づかいを感じる
噴煙たなびく 北アルプスの香炉
長野県と岐阜県の県境にある焼岳(標高2,455m)は、今も噴煙をたなびかせる活火山で、岐阜県側では硫黄岳とも呼ばれていました。上高地から日帰りで登れる山として、多くの登山者に親しまれています。
南峰(2,455m)は登山禁止になっていて、登れるのは北峰(2,444m)のみですが、山頂からは、蛇行する梓川の様子や雄大な槍ヶ岳・穂高連峰、笠ヶ岳や乗鞍岳も一望でき、目の前に広がる360度絶景のパノラマビューを満喫できます。
南峰と北峰の間には、エメラルドグリーンの火口湖・正賀湖があります。
およそ3万年前から始まったといわれる火山活動は、現在沈静化していて噴火警戒レベルも最小の1に設定されています。安全に登山を楽しむため、事前に必ず気象庁の火山情報を確認し、噴気孔近くには近寄らないようにしましょう。
豊かな天然温泉は、焼岳の恩恵
溶岩ドームを形成する鐘状火山(トロイデ)焼岳は、大正4年(1915)の噴火によって梓川を堰き止め「大正池」を生み出しました。朝もやの幻想的な風景、穂高連峰や焼岳を映す水鏡は、上高地を代表する観光スポットとなっています。
また、焼岳の火山活動は周辺に豊富な温泉をもたらしています。上高地温泉、中の湯温泉、坂巻温泉、そして岐阜県側の平湯温泉をはじめとした奥飛騨の温泉群。焼岳登山や上高地散策のあとは、焼岳の恩恵「天然温泉」で疲れを癒してみてはいかがでしょうか。
日本百名山に名を連ねる、美しき色彩の山
日帰りできる山として初心者はじめ多くの登山者に人気の高い焼岳は、日本百名山に選ばれた名峰で、著者・深田久弥氏は美しいモザイク模様を見せる焼岳を、まるで五色の着物を着ているようだと評しました。
新緑の萌える緑は夏に向かって日に日にその濃さを増し、9月下旬から10月上旬にかけての紅葉シーズンには、山肌のナナカマドやダケカンバが鮮やかな赤や黄に染まっていきます。焼岳の全貌がよく見える大正池辺りは絶好の撮影スポットとなっています。
歌人・島木赤彦や俳人・高浜虚子などもその歌や句を詠む焼岳。多くの人々が愛してやまない名山のひとつです。
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